诊疗
甲状腺?副甲状腺外科诊疗について
甲状腺疾患には悪性腫瘍(がん)、良性腫瘍、バセドウ病、橋本病、亜急性甲状腺炎、急性化膿性甲状腺炎などがあり、副甲状腺疾患には原発性副甲状腺(上皮小体)機能亢進症および透析患者さんに生じる続発性副甲状腺機能亢進症があります。甲状腺?副甲状腺疾患の治疗は内科的のものから外科的なものまで幅が広く、当科ではこれらの疾患を诊疗しています。
甲状腺肿疡
诊察の流れ
颈部のしこり(肿瘤)を主诉に来院された患者さんに対し、以下のように问诊、视诊、採血、超音波検査などで评価してから必要な方に対して穿刺吸引细胞诊を行っています。さらに必要に応じて画像検査を追加して诊断および治疗を行います。
- 问诊、视诊、触诊
颈部の痛み、のどの违和感、动悸や発汗、疲れやすい(倦怠感)、声がれ(嗄声)などの症状、これまでに诊断や治疗を受けた(既往)病気やご家族(おもに第一亲等:父母、きょうだい、子供)の方で甲状腺や副甲状腺疾患を治疗した方などをお伺いします。 - 喉头ファイバー
甲状腺がんが進行すると、嗄声の原因となる反回神経麻痺を来すことがあり、声帯の動きを確認するため喉头ファイバー検査を行います。また首やのどの症状を認める場合に甲状腺とは関係のない头颈部がんが原因となる場合もあり、それらの診察も同時に行います。 - 血液検査
主に甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺自己抗体、サイログロブリン、腫瘍マーカー などを測定し、必要に応じてその他の項目も測定しています。 - 超音波検査
超音波検査は費用が安価で、放射線被曝がなく、簡便に繰り返し検査を行うことができるという利点があります。この検査を用いて甲状腺やリンパ節の病変を観察します。特に乳头がんは超音波検査で特徴的な所見を示すので、多くの症例で適切に診断が可能です。また血流の状態を見るドプラ法や硬さや弾力を表示するエラストグラフィなども有効です。しかし、甲状腺肿疡で最も多い濾胞性病変(ほとんどが良性腫瘍であるグループ)において、稀にみられる滤胞がんは、顕微鏡でようやく観察可能な腫瘍の皮(被膜といいます)の断裂や血管異常に基づき診断します。そのため手術で切除した組織の観察が必要であり、術前には滤胞がんを診断することが困難です。 - 穿刺吸引细胞诊
肿疡に対して超音波ガイド下に注射针を穿刺して採取した细胞で诊断します。乳头がんは细胞に特徴があるのでこの検査でほとんどが诊断可能です(ごくまれに手术で摘出した后で诊断が异なる场合もあります)。 - そのほかの画像検査(颁罢、惭搁滨、シンチグラフィ、笔贰罢-颁罢)
颁罢や惭搁滨では甲状腺およびリンパ节の周囲组织との位置関係、血管の部位、その他肿瘤の有无などを确认します。またシンチグラフィではバセドウ病、机能性结节の诊断をはじめ、悪性肿疡の补助诊断や术后の甲状腺组织の有无などの评価も行います。笔贰罢-颁罢は进行の早い未分化癌や低分化癌において全身への転移がないかどうか调べるために用いています。
甲状腺がんの种类
比较的予后のよい乳头がんが最も多く(约9割)、ついで滤胞がんの顺でみられます。まれに髄様がんや予后が悪い未分化がん、さらに悪性リンパ肿などもあり、さらに近年には低分化がんが独立して分类されるようになりました。
- 乳头がん
若年者にも発症し、高齢発症の方が比较的予后不良です。细胞诊で诊断が容易であり、进行は缓徐で10年生存率は约90%です。 - 滤胞がん
中年者に多いですが一般の癌年齢よりも若い倾向があります。术前に良性肿疡との区别(鑑别といいます)が极めて困难です。肺や骨に転移する场合がありますが、进行は缓徐で10年生存率は80~90%です。 - 髄様がん
家族性に発症する方が多く、その場合は多発性内分泌腺腫症(英語名multiple endocrine neoplasia :MEN)という遺伝的な病気に合併して起こります。カルシトニン、CEAが腫瘍マーカーとなります。進行は比較的緩徐で、10年生存率は80~90%ですが、完全に取り切らないと(根治的治疗しないと)20%以下となります。 - 未分化がん
高齢者に多く、分化がん(乳头がんや滤胞がん)からの移行が多くみられます。強い炎症所見を示し、非常に進行が早いために手術ができなくなることも多く、1年生存率は18-20%と予後は極めて不良です。しかし、近年分子標的薬(レンバチニブ、ソラフェニブ)が開発され、このがんにも効果があることが示されました。 - 悪性リンパ肿
慢性甲状腺炎を背景に発症します。诊断が难しく手术が必要です。5年生存率は约60%で、当院では血液免疫内科で抗がん剤を中心とした治疗を行っています。
治疗
- 非外科的治疗
服薬治疗
甲状腺ホルモンが不足している場合には甲状腺ホルモン剤の服薬治疗が必要です。また甲状腺ホルモンが過剰な場合、その原因がバセドウ病である場合は抗甲状腺剤やヨウ化カリウム剤、抗不整脈薬などの治疗が必要であり、当院の内分泌代謝科と連携して治疗を行います。
経皮的エタノール注入疗法(笔贰滨罢)
甲状腺肿疡に対する治疗は外科的治疗(手術)が中心的役割を示します。しかし、水袋(のう胞)のみの場合や甲状腺ホルモンを産生する機能性腺腫に対しては、手術による負担を回避してエタノールを注射針で直接のう胞に注入する経皮的エタノール注入療法(PEIT:ペイト)を行う場合があります。 - 外科的治疗(手術)
甲状腺に腫瘍を認めた場合は前述の検査を行い、必要があれば外科的治疗を行います。腫瘍の種類やサイズ等によりますが、以下に示しますように内視鏡を用いて鎖骨の下方に切開を行い、頸部に傷をつけず手術を行うVANS法を行います。しかし腫瘍のサイズが大きい、もしくは数が多い場合や周囲の臓器への浸潤、リンパ節転移を伴う甲状腺がんでは頸部に切開(外切開法)を行い、術野を広く確保した上で安全に、かつ腫瘍のとり残しがないように手術を行います。
なお术式は甲状腺の切除范囲により一侧だけ切除する片叶切除と両叶とも切除する全摘术の2种类あります。病気の进行状况、患者さんの体调や年齢、ご希望なども考虑して慎重に判断し术式を决定しています。
内视镜补助下甲状腺、副甲状腺切除术(痴础狈厂法)
良性腫瘍やバセドウ病、転移や浸潤のない甲状腺がん、原発性副甲状腺机能亢进症が対象となります。VANS法は頸部に傷をつけることなく手術が行えるため、前頸部を切開する通常手術と比べて、頸部に傷跡が残らない点で美容上優れています。 比較的小さなバセドウ病、大きさが5~6cm程度までの甲状腺良性腫瘍、リンパ節転移や甲状腺外への浸潤のない直径2cm程度までの甲状腺乳头がんなどが対象になります。

外切开(术后1年経过) 
痴础狈厂法(术后半年経过)
リンパ节郭清术
甲状腺がんの中でもと乳头がんや髄様癌は甲状腺周囲や外側頸部にリンパ節転移を認める場合があります。なかには術前の検査で確認できないような小さなリンパ節転移も複数認めることもあり、それらを取り残して手術範囲内にリンパ節転移の再発をきたすことがないように、リンパ節を含め周囲の脂肪組織を一塊にして切除します。この手術をリンパ节郭清术といいます。多くの乳头がんでは頸部の真ん中付近(正中頸部)に高率に転移を認めることからこの部位はたいていの場合リンパ節郭清(D1郭清)を行います。さらに横首を外側頸部といい、この部位へ転移している場合は外側区域頸部郭清術(片側でD2郭清、両側でD3郭清)を追加します。 - 術後治疗について
甲状腺がんの多くはほかの头颈部がんよりも進行が遅く比較的予後の良いがんですが、一部のがんでは遠隔転移を生じて生命にかかわるものもあります。そのため追加治疗が必要と判断された場合、全摘後が行われておらず甲状腺組織が残っていれば追加切除(補完全的)手術を行い、甲状腺がんにだけ行われる放射線治疗(放射性ヨウ素内用療法)や化学療法(分子標的薬)を行います。当科では患者さんの病状に合わせて適切な時期に最良と判断される治疗をお勧めしています。
原発性副甲状腺机能亢进症
副甲状腺とは
副甲状腺は、甲状腺の裏側にある米粒大の臓器です。通常は、左右に上下2つずつ合計4つあり、副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone、略してPTH)を出します。中でも鋭敏に作用が反映するものをインタクトPTH(iPTH)といい、通常はこのiPTHを測定します。PTHは骨や腎臓に作用し、体の中のカルシウムのバランスを整える働きがあります。
原発性副甲状腺机能亢进症とは
何らかの原因により副甲状腺が腫大してPTHが過剰に分泌され、血液中のカルシウムは増加します。この病気を副甲状腺機能亢進症といいます。副甲状腺そのものに病気の原因場合は “原発性”副甲状腺機能亢進症と言います。腎不全など副甲状腺以外に病気の根源があり、二次的にPTHの量が増えた場合は二次性病態であり “続発性”副甲状腺機能亢進症といいます。
病気の种类
原発性副甲状腺机能亢进症の原因には、副甲状腺の腺腫、過形成、がんがあります。このうち8割以上は良性の腺腫で、この場合は4つある副甲状腺のうちひとつが腫大します。過形成は4つの副甲状腺のすべてが異常になるもので、多発性内分泌腺腫症(英語名multiple endocrine neoplasia:MEN)という遺伝的な病気に合併して起こることがほとんどです。MENは原因となる遺伝子異常が分かっています。副甲状腺以外に、内分泌腺の腫瘍が見られた場合には、MENの遺伝子検査をすることをお勧めしています。がんの場合には副甲状腺が大きく腫大し、高カルシウム血症も高度であることが多く、予後は不良です。
症状
原発性副甲状腺机能亢进症の症状は、高カルシウム血症となりますが、多くの場合ははっきりした症状はみられません。近年健康診断などで血中カルシウム濃度を測定する機会が増えたため、偶然、高カルシウム血症を発見されて診断に至る例が増えています。
初期症状としては、倦怠感、食欲不振、吐き気などの消化器症状がみられますが、カルシウム浓度の上昇が軽度の时にはほとんど自覚症状が无いことが多いです。しかし、高カルシウム血症の程度が进むと、多尿、口の渇きが出现し脱水になり、肾臓の机能も低下します。さらに、急速に病気が进行して高度のカルシウム血症(15尘驳/诲濒以上)を来すと、意识障害などを伴った生命に関わる状态(高カルシウムクリーゼ)になり、紧急を要することもあります。
症状に乏しい場合でも、原発性副甲状腺机能亢进症が長い間続くと、PTHは高カルシウム血症を招くだけでなく、骨からカルシウムを奪い骨の破壊が進みます。その結果、骨密度が低下し骨粗鬆症となり、骨折する危険性が高くなります。また、骨から放出されたカルシウムは腎臓に沈着するために尿路結石や腎障害を生じることが珍しくありません。実際に、腎結石としてこの病気が発見されることも多いです。
検査
血液検査でカルシウム値と颈笔罢贬値が高ければ诊断できます。副甲状腺の肿れや肿疡がどこにあるのか検査を行います。まずは、简単で検査侵袭が少ない超音波検査を行い、さらに、颁罢や惭搁滨、シンチグラムなどの画像検査でも确认します。シンチグラムでは、ホルモンを过剰に作っている场所に强い集积がみられ、副甲状腺以外の场所にある肿疡を探す场合などに有効ですが、肿大が軽度の场合には见つからないこともあります。
治疗
原発性副甲状腺机能亢进症での治疗の原則は、腫大した副甲状腺を摘除する手術です。腺腫の場合には、通常ひとつの腺だけの異常なのでこれを摘出します。最近では、以前に比べてより体への負担が少なく、傷跡が目立たない新しい手術方法として、術前に確認された異常腺のみ摘出する手術(Focused operation)が行われます。当院では、残された副甲状腺が過剰にiPTHを生産していないかどうか手術中にiPTHを測定し判定する方法(術中迅速iPTH測定法)を用いて病的副甲状腺の取り残しを防ぐ対策を行っています。
过形成の场合には、4腺すべてが肿れているので、3腺+1腺の一部または4腺切除+1腺の前腕筋肉内へ自家移植します。
高カルシウム血症が軽度で何らかの理由で手術を行わない場合には、カルシウム値、腎臓、骨の状態などの経過を注意深く追いながら、それぞれの症状に対する治疗を内分泌代謝科と連携して行います。
头颈部がんについて
头颈部がんとは
头颈部肿がんは、锁骨より上方で脳?脊椎?眼球以外の部位にできるがんのことをいい、口腔がん(舌がんなど)や喉头がん、咽头がん、鼻副鼻腔がん、甲状腺がん、唾液腺がんなどが含まれます。
头颈部がんの特徴
头颈部领域は?食べる?、?しゃべる?、?呼吸する?という人が人らしく生きていく上で最も重要な机能を有する场所です。また颜や颈部は外から见える场所でもあります。
このような部位にがんができると、患者さんは?がんを治す?ことと引き換えに食べたり話したりする機能や容姿などを何らかの形で犠牲にしないといけなくなる可能性があります。たとえがんの進行具合が同じでも、年齢や社会的な立場、人生観などで治疗法は様々であり、がんの根治性と生活の質のバランスを考慮しながら治疗することとなります。
头颈部がんの治疗
头颈部がんの治疗は手術療法と放射線療法が基本となります。化学療法(いわゆる抗癌剤治疗)は放射腺治疗と併用して治疗効果を高めたり、腫瘍の縮小を目的に手術療法や放射線療法に先行して行うこともあります。また再発や転移を来した場合に延命効果を期待して使用することもあります。
ステージⅠ?Ⅱの早期がんでは手術療法や単独放射線治疗を基本としています。一方、ステージⅢ?Ⅳの進行がんでは、数時間程度で終わるような手術から頸部外から組織を移植し10時間以上もかかるような大掛かりな再建手术を行うこともあれば、手術せずに抗がん剤を併用した化学放射線治疗を行うこともあります。
- IMRT(強度変調放射線治疗)
放射線治疗では従来放射線が一定方向、一定の力で照射されていたのに対し、IMRTでは部位によって放射線の強弱を設定できるようになりました。そのため、IMRTで耳下腺、口腔、脊髄などの線量を軽減し、必要な領域に高線量を集中してあてることで、高い治疗効果を維持しながら味覚障害やのどの渇きといった放射線による障害の軽減につとめています。 - 再建手术
进行したがんの场合、形成外科と协力して足や腕、お腹などから採取した游离皮弁や消化管外科が採取した肠管を用いて、切除した部位の机能再建を行っています。肿疡の切除にも切除部位の再建にも时间がかかるため10时间以上かかる大掛かりな手术となります。 - 音声再建手术
喉头を摘出し声を失った场合は一般的に电気式人口喉头や食道発声法による発声を行うのですが、当科では気管と食道の间に通り道を作成し、プロヴォックス?という発声补助器具を埋め込む手术疗法を积极的に行っています。これをシャント発声といい、発声练习の期间が短く、音质はやや悪いものの、ある程度の音量と抑扬のある声が得られます。 - 経口的内视镜手术
下咽頭がんや中咽頭がん、声門上がん(喉頭がん)の早期癌は口から内視鏡を補助下に切除することも行っています。咽頭や喉頭への広範囲の放射線治疗は長期的に見ていくと飲み込みの機能が低下していくことがわかっており、最近は手術療法を行う患者さんが増えてきています。この領域は海外ではロボット支援手術に置き換わってきており、将来的に日本でも同様にロボット支援手術が主流となってくると考えられます。 - 外来化学疗法
再発や転移をきたした場合でも積極的に外来にて化学療法を行っています。最近はオプジーボ?やキイトルーダ?という免疫チェックポイント阻害剤も头颈部がんに対する適応が認められ、ますます外来化学疗法を行う患者さんが増えています。
頭頸部アルミノックス治疗(光免疫療法)
これまで切除不能な再発头颈部がんに対する治疗の主体は放射線治疗や化学療法、免疫療法でしたが、それらの標準的な治疗が終了した後、またはそれらの標準的な治疗が受けられない患者さんに対する確立された治疗法はありませんでした。しかし、標準的な治疗が終了した後の切除不能再発头颈部がんに対する治疗の選択肢として、世界に先駆けて頭頸部アルミノックス治疗(光免疫療法)が開発されました。
この治疗は、がん細胞の表面に多くあらわれるEGFRというタンパク質に結合するアキャルックス?(セツキシマブという抗癌剤と光感受性物質の複合体)という薬剤を投与し、点滴静注終了2 0-2 8 時間後にレーザ光を当てることでアキャルックス?がレーザ光に反応し、がん細胞の細胞膜が破壊され、がん細胞を死滅させる治疗法です。詳細については頭頸部アルミノックス治疗の開発元であるをご参照ください。
诊疗の流れ
まず当院の頭頸部癌治疗センター(毎週水曜午前)を受診していただき、治疗の適応があるかどうか診察します。
- 治疗対象とならない可能性のある方
?セツキシマブに対してアレルギー反応が现れたことのある方
?肿疡が颈动脉周囲まで広がっている方 - 入院1日目
2时间以上かけてアキャルックス?を点滴投与します。 - 入院2日目
アキャルックス?を投与20―28时间后に全身麻酔下にレーザ光を照射します。
1カ所につきレーザ光を5分程度照射し、治疗は全体で2時間程度あれば終了します。 - 入院3日目以降
创部の状态を见ながら退院の判断をおこないます。
病変が完全に消失しない场合には28日以上の间隔を开けて、最大4回まで繰り返しおこなうことが可能です。
嚥下障害について
嚥下外来(@摂食嚥下センター)火曜:山本纯平 木曜:川上 理
「嚥下」とは口の中で食べ物を饮み込みやすいかたちにし、食道から胃へ送り込むことをいいます。我々の体は口から食道につながっていますが、同时に気管にもつながっています。そのため上手に饮み込めなければ食事を误って気管に入れてしまう、いわゆる「误嚥」を起こすことになります。
加齢とともに嚥下机能は低下します。2013年より肺炎が日本人の死因の第3位になり、その多くが误嚥性肺炎です。高齢者の増加に伴い误嚥性肺炎の罹患数も今后ますます増加していくことが予想されます。加えて、脳血管疾患や神経疾患によるもの、私たちが専门としている头颈部领域の疾患によるものなど様々な原因で嚥下障害を起こし得ます。
2020年9月より当院では当教室の辻 裕之主任教授をセンター长とした「摂食嚥下センター」を设立しました。嚥下障害の患者さんに対して、医师、歯科医师、薬剤师、认定看护师、言语聴覚士、歯科卫生士、管理栄养士など多职种によるチームで嚥下状态の评価を行っています。嚥下障害ある患者さんには栄养指导や管理、嚥下リハビリテーションを実施しています。
しかし嚥下障害の著明な患者さんで、嚥下リハビリテーションでの改善は難しいが食べたい意欲が強い方に対しては、头颈部がん治疗の技術を生かし嚥下改善?误嚥防止手术を行っています。どの手术を选択するかは、嚥下や呼吸の能力を评価の上、ご本人やご家族と相谈して决定しています。
- 嚥下改善手术
嚥下机能が低下した患者さんに対して実施される手术です。- 轮状咽头筋切断术
轮状咽头筋(食道の入り口を取り囲む筋肉)は食道まで通过した食事が逆流しないように働く筋肉です。嚥下机能が低下した场合はこの筋肉が食事の通过を妨げてしまうため、筋肉を切断し食事の通过を向上させます。比较的低侵袭な手术となりますが食后の逆流は起こりやすくなるため食后しばらくの时间は座位を保つ事が必要になります。 - 喉头挙上术
のど仏を上方にひっぱり上げて固定し、常に喉头が高い位置にあるようするのが目的です。一时的な気管切开が必要となります。 - 甲状软骨形成术?披裂软骨内転术
颈部や胸部の手术によって、声を出す神経である反回神経が障害されてしまった场合は声帯麻痺を起こします。そのため声帯が完全に闭じることができなくなり嚥下障害を来たします。その场合、声帯の位置を中央に寄せることで声帯を闭じるようにすることが可能となり、嚥下机能の改善を得ることが出来ます。术后のどが一时的に肿れるため、慎重な入院管理を行うことが必要になります。
- 轮状咽头筋切断术
- 误嚥防止手术
常に误嚥を起こしているほどの高度の嚥下机能障害の方に対して実施される手术です。文字通り误嚥を防ぐ事が可能ですが、食道と気道(息の通り道)を别々にわけるため、従来の声を出すことができなくなります。- 声门闭锁术
声を出す声帯部分を縫うことで気管への食事や唾液の流入を防ぎます。誤嚥防止術の中でも低侵襲ではありますが、縫合した部分が不十分であると隙間から漏れて誤嚥をおこしてしまう可能性があります。 基本は全身麻酔での手術となりますが、既に全身状態が悪い状態である場合は局所麻酔での手術も可能です。 - 喉头全摘术
気管の入り口となる喉頭をすべて取ることで声门闭锁术よりも高い誤嚥防止効果が望まれます。また喉頭の枠組みをとることで咽頭が広がり、食事が通りやすくなるメリットがあります。ただし手術の侵襲度も声门闭锁术より大きくなり、局所麻酔では困難となります。また術後に咽頭の縫合部分が外れてしまうと食事の開始が大きく遅れてしまう可能性もあります。 - 喉头中央部分切除术
喉頭の枠組みをとりつつも喉頭の切除を部分的に行うことで咽頭の縫合部分を最小限にした術式です。咽頭の縫合部分を最小限にしているため喉头全摘术より侵襲度が低く、また声门闭锁术より食事の通過が改善される点で近年注目されている術式です。
- 声门闭锁术
頭頸部外科では、摂食?嚥下センターと共に「安心して食事を摂取し健康寿命を延ばすこと」を第一に、嚥下障害の患者さんの诊疗を行っていきたいと考えています。
音声障害について
人とコミュニケーションをとる际、『発声』は大変重要なものであり、我々が生活するにあたりなくてはならないものです。しかし、様々な原因によって音声障害を来たし、コミュニケーションを十分に取れなくなるケースがあります。
例えば、声帯ポリープや声帯结节といった声の使い过ぎによるもの、喉头癌や白板症といった肿疡によるもの、また颈胸部手术の合併症による反回神経麻痺によるもの、加齢等により声帯の委缩が原因となっているものなど、数多くの原因が挙げられます。
私たち頭頸部外科はこの様な音声障害に対して診察、治疗を行っています。頭頸部外科として喉頭腫瘍に関わるものはもちろんですが、反回神経麻痺による音声障害に対して特に力を入れており、頭頸部外科の技術をベースに手術加療を中心に行っています。
主な手术疗法
- 披裂软骨内転术
反回神経麻痺により声帯の内転ができないため、左右の声帯の间に隙间ができてしまい声のかすれ(嗄声)が生じてしまいます。披裂软骨を内侧へ回すことで麻痺侧声帯が正中へ寄るため、発声时に左右の声帯间の隙间がなくなり、嗄声の改善につながります。术后のどが一时的に肿れるため、慎重な入院管理が必要になります。 - 甲状软骨形成术Ⅰ型
この手術も声帯を正中に寄せるという意味では披裂软骨内転术と類似しています。甲状軟骨(のどぼとけの軟骨)に声帯レベルの高さで小さな窓を開け、そこからゴアテックスシートを挿入し、外側から声帯を押して正中に移動させる手術です。
甲状软骨形成术は他に声を高くしたり、低くしたりする方法もあります。これらは京都大学名誉教授の一色信彦先生により开発され、现在世界中で行われています。 - コラーゲン注入术
声帯委縮で声がかすれている方や反回神経麻痺があっても声帯の固定が正中に近いために上記手術の適応にならなかった方、そして上記手術を受けたが正中への移動が不十分であった方などが適応となります。コラーゲン注入术を受ける場合は、外来で事前にコラーゲン製剤へのアレルギー反応を調べさせていただき、問題なければ行うことができます。上記手術は手術室において局所麻酔下に行う形の治疗となりますが、コラーゲン注入术に関しては外来で行うことができます。外来でのどに十分な麻酔を行い、専用の注射器を用いて対象となる声帯の中にコラーゲンを注入します。コラーゲンは時間経過で吸収されてしまうため、1回の加療のみでは症状が戻る可能性があるため数回の通院が必要となります。
頭頸部外科では音声障害に関しては当院の耳鼻咽喉科スタッフおよび言語聴覚士の方々とも協力して诊疗を行っています。声に関する心配事があれば遠慮なくご相談ください。